結論から言えば、法人が社用車を導入する際、カーリースを選ぶと会計や税務の処理が簡単になります。
なぜなら、カーリースなら車のメンテナンスや保険料を含めた管理が容易になるからです。
というのも、車を購入する場合、購入費用をすぐに経費として計上することはできず、6年間で減価償却する必要があります。
これは車が固定資産として扱われるためですし、また自賠責保険料や自動車税、自動車重量税などの細かな仕訳処理が必要になり、社用車の車検やメンテナンススケジュールの管理も増えてしまいます。
一方、カーリースを選ぶと、これらの減価償却の手間がなくなります。
月々のリース料金をそのまま経費計上でき、メンテナンスや車検の手続きもカーリース会社が担ってくれるため、会計処理や車の管理が簡単になります。
法人が社用車をカーリースで導入することのメリットを経費処理の面だけでなく、通常業務に与える影響を最小限に抑えることができるというメリットもわかりやすく解説します。
カーリースを考えている法人の方の参考になれば幸いです。
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法人でカーリースを利用した場合の税務処理
法人がカーリースを利用する場合、支払った費用は経費として計上して節税につなげることができます。
購入だけでなくカーリースの料金も全額経費として計上することが認められています。
カーリースと購入における税務処理上の違い
社用車の調達方法には、「カーリース」と「購入」の2通りがありますが、これらの税務処理の方法は異なります。
カーリースの場合、所有権はカーリース会社にあるため契約者の固定資産とはみなされず、毎月の料金をそのまま経費として計上できます。
一方、購入した車は法人が所有する固定資産として扱われることになり減価償却が必要となり、購入費をすぐに全額計上することはできませんし、購入時の支払い形態によっても税務処理方法は変わります。
一括購入した場合の経費処理
法人が社用車を現金一括で購入した場合、購入費を一度に全額計上することはできません。
「減価償却」という方法を適用して、購入費を6分割または4分割して毎年少しずつ計上する必要があります。
この減価償却、税務処理の手間がかかりますが、その手間が面倒だとして一度に全額を計上すると購入費用が利益を上回り、数字上は赤字となる可能性があります。
ローン購入の税務処理
ローン購入の場合、ローンの返済金に附帯する利息分は経費計上可能ですが、ローンの返済金自体は経費として計上できません。
というのも、ローンは車の購入費をローン会社から借りて少しずつ返済するという手段であるため、元本部分は負債とみなされるからです。
カーリースの税務処理で経費にできる費用一覧
カーリースの料金には①車両本体価格、②自動車税、③自動車重量税、④自賠責保険料が含まれています。
また、カーリース会社によっては⑤車検基本料や⑥メンテナンス費用(定期点検や消耗品交換にかかる費用)も含まれることがあります。
料金以外で経費にできる費用
カーリースの料金に含まれない費用でも、⑦賃貸駐車場の駐車場代、⑧コインパーキング料金、⑨高速道路の通行料、⑩車の修理費なども経費として認められます。
ほとんどのカーリースは頭金不要とされていますが、カーリース会社によっては頭金の設定が可能な場合もあり、カーリースで頭金を支払った場合でも、その⑪頭金は全額経費計上できます。
カーリースの頭金を経費処理する場合の注意点
カーリースの頭金も全額経費として計上することができ、その経費処理について、頭金は「前払費用償却」や「雑費」に仕訳をするケースが一般的です。
ただし、過剰に多くの頭金を経費計上すると過少申告とみなされる恐れがあり、過少申告になれば「過少申告課税」が追徴課税されるため注意が必要です。
法人がカーリースを利用した場合の仕訳と税務処理
法人がカーリースを利用する際には、ファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引の2つのタイプがあります。
ファイナンス・リースでは、リース期間終了時に車の所有権が移ることもありますが、オペレーティング・リースでは、リース期間終了後も車の所有権はカーリース会社に残ります。
これらのリース形態によって、会計処理や税務処理も異なります。
ファイナンス・リースの税務処理
所有権移転型ファイナンス・リース契約を結んだ場合、リース期間終了時には車の所有権がリース会社から契約者の法人へ移ることになります。
これはローン購入と類似しており、会計上も同様に資産として計上し、減価償却後に会計処理を行います。
具体的な会計処理は次のようになります。
- 契約時:【借方】リース資産(車両価格)/【貸方】リース債務(車両価格)
- 支払時:【借方】リース債務(車両価格÷支払回数)/【貸方】現金(月額リース料)
- 決算時:【借方】減価償却費(購入価格÷リース回数×年度内月数)/【貸方】リース資産
税務上の所有権移転非含むファイナンス・リースの処理
所有権移転を伴わないファイナンス・リース契約は日本において最も一般的な形式で、この契約ではリース期間終了後も車の所有権はリース会社に残ります。
車を引き続き使用する場合は、再度リース契約を結ぶか、諸費用を含んだ車両代金を支払って購入することになります。
この形式の場合も決算時の会計処理が必要ですが、リース期間定額法を用いて減価償却後に会計処理を行います。
具体的な会計処理は以下の通りです。
- 契約時:【借方】リース資産(車両価格)/【貸方】リース債務(車両価格)
- 支払時:【借方】リース債務(車両価格÷支払回数)/【貸方】現金(月額リース料)
- 決算時:【借方】減価償却費(購入価格÷72ヶ月または48ヶ月)/【貸方】リース資産
※普通自動車は72ヶ月(6年)、軽自動車は48ヶ月(4年)で分割して算出することと定められています。
オペレーティング・リースの税務処理
例えば「残価設定型カーリース」のリース契約はオペレーティング・リースに分類されます。
会計上は賃貸借処理とされてリース料の仕訳が可能で、資産計上や減価償却の必要はありません。
そのため、オペレーティング・リースでは支払時のみ以下の会計処理を行います。
- 【借方】リース料/【貸方】現金
法人がカーリースを利用した場合の税務処理以外のメリット
社用車をカーリースで利用する場合、税務処理が楽チンになるだけでなく、通常業務に与える影響を最小限に抑えることができるというメリットがあります。
メンテナンスなどのサポートが充実
社用車は一台ごとに走行距離が違うのでエンジンオイル交換、バッテリー交換、タイヤ交換、法定点検といったメンテナンスのタイミングも変わってきます。
そして、台数が増えるほど管理の負担が増えていきます。
その点、カーリースにオプションとして用意されていることが多い「メンテナンスパック」に加入すれば、メンテナンスのタイミングや法定点検などをカーリース会社がサポートしてくれるので業務負担が軽減されます。
また、故障や事故の際の修理工場の手配もお任せできます。
支出を効率的に経費化できる
カーリースは料金の100%を経費計上できるので、3つの選択肢(カーリース、現金一括払いで車を購入、ローンで車を購入)を比べた場合、カーリースに優位性があります。
支出が一定なのでコスト管理をしやすくなる
車を購入する場合だと、初期費用や車検代、税金などのタイミングで支出が増える月があります。
社用車の台数が多いと、この支出の変動で経営資金が圧迫される可能性も否定できません。
一方、カーリースは一般的に初期費用が不要ですし、月額料金が決まっています。
支出が一定なのでコスト管理をしやすく、資金計画を立てやすい利用形態と言えます。
費用管理に伴う業務の負担が減る
自動車税や自賠責保険料、自動車保険(任意保険)料、車検の手続きや支払いなども、一台ごとに管理しないといけませんし、事故や故障が発生すれば、修理の手続きや保険会社への連絡なども必要です。
でも、カーリースだと、その車の「所有者」はカーリース会社であるので自動車税や自賠責保険料の納付・管理、車検の手続きなどはすべてカーリース会社に任せることができます。
法人がカーリースを利用する場合の注意点
税務処理が楽になることをはじめ、法人がカーリースを利用すれば様々なメリットを得ることができますが、カーリースにも注意点があります。
経営が悪化しても原則として中途解約はできない
カーリースではあらかじめ契約期間が決められていて、経営が悪化しても原則として契約期間中に解約することは認められません。
事故で大破した場合などやむを得ない事情で解約になったとしても、残り期間分の料金や違約金などを一括で支払う必要があります。
赤字経営だと審査で不利になることも
年単位で契約するカーリースでは、契約時にカーリース会社と提携している信販会社の審査が必要となります。
この審査では、「収入」や「クレジットやローンの利用状況(現在の借入額や過去の支払い履歴)」などをチェックされますが、収入が少ない個人事業主や経営の厳しい法人は審査に通らない可能性があります。
一般的に走行距離は制限がある
ほとんどの場合、カーリースの車には走行距離の上限が設けられているため注意が必要です。
カーリースでは契約満了時の車の価値を想定した「残価」を事前に設定し、残価のぶんだけ料金を安くすることができます。
しかし車は走行距離が長くなるほど価値が落ちていくため、実際の契約満了時の価値と設定した残価に大きな差が生じないよう走行距離を制限しているのです。
プライベートと兼用の車は「家事按分」が必要
カーリースで調達した車を仕事とプライベートの両方で使用する場合、経費計上の際は「家事按分」をしなければなりません。
家事按分とは仕事で使用した割合とプライベートで使用した割合を決めたうえで、仕事で使用した割合の分だけ経費を算出して計上することです。
割合の決め方については明確に定まっておらず、走行距離や車の使用日数から算出するのが一般的ですが、結果的にはご自身の判断に委ねられます。
例えば、走行距離で按分するとした場合、1ヶ月の走行距離が500kmでガソリン代が5,000円であった場合、そのうち事業で車を使用した分が100kmなら1/5の1,000円を経費として計上できます。
また、「リースした車はほとんど仕事に使っている」という場合だったら、90%程度の割合に定めて料金の90%を経費計上することも可能です。
契約満了時に追加費用が発生するケースもある
事業用の車でカーリースを選んだときのメリットには「支出が一定なのでコスト管理をしやすくなる」がありました。
ただし、車の使い方によっては、以下のような追加費用が発生することもあるため注意が必要です。
- 残存価格の差額:あらかじめ設定していた残存価格と契約満了時の査定額の差額
- 原状回復費:車の傷や破損などを直すための費用
- 超過走行分の精算:契約の走行距離を上回った場合に必要な精算金額
といっても、これらの追加費用は注意を払ってリース車を利用していれば発生するリスクを抑えることができます。
まとめ
事業用の車を選ぶ際には、税務処理の簡便さやメンテナンスの手間の軽減、予算管理の容易さといった、カーリース契約のメリットだけでなく、デメリットも理解して、自社の状況に合った選択をすることが重要です。
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